100分de名著 道元『正法眼蔵』第1回 「身心脱落」とは何か?(瞑想RADIO的まとめ)
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NHK Eテレにて、"100分de名著"(毎週月曜日/午後10時25分~10時50分 <再放送>水曜日/午前5時30分~5時55分、午後0時00分~0時25分)
道元『正法眼蔵』第1回 「身心脱落」とは何か?を見ました。
道元とは、永平寺を開いて、禅の思想を日本中に広めた、鎌倉時代初期の禅僧です。
道元の教えが著された『正法眼蔵』を読み解くシリーズの第1回は、道元の言う『身心脱落(しんじんだつらく)』って何?というテーマでした。
『正法眼蔵』の「正法」とは、"お釈迦様の説かれた正しい教え"という意味で、それらはお経となって「蔵」に納められているが、それを正しく読み解く智慧としての「眼」を持つことのできるもの、ということになります。
道元はその昔、悩んでいました。
『仏の教えでは、人間はもともと仏性を持ち、そのままで仏であると教えているのに、何で仏になるため(悟るため)に、修行をしなくてはならないんだろう・・』
様々な人に聞いて回っても、満足の行く答えが得られなかったそうです。
24歳のとき、中国の宋に渡っても納得の行く答えが得られず、諦めかけて日本に帰ろうとしていたある朝、道元は大勢の僧とともに坐禅をしていたとき、
居眠りをしていた修行僧に、如浄という禅師が叱りました。
「居眠りをしていては、目的が果たせるものか! 参禅はすべからく、身心脱落なるべし!」
この言葉を聞いて、道元は迷いから目覚めたといいます。
「身心脱落」とは何か?
それは、「身も心も(自我意識の一切を)捨て去る」ことであるそうです。
では、どこに身と心を捨て去るのかと言えば、それは、「本来仏である、悟りの世界に身と心を投じる」とのこと。
悟るための修行とは「迷い」であり、そのような迷いをすべて取り払って、悟り(仏)の世界に合一すべきである。
ー我々は仏であるからこそ、このような(仏と合一する)本当の修行ができる。
仏になったように、修行をするのだ。
道元は、このように目覚めたということでした。
仏教思想家で大好きな「ひろさちや」さんの例えが、面白かったです。
ひろさちやさんは、自我意識を"角砂糖"に例えて、自我意識とは角砂糖のようにぶつかり合ったり崩れたり、慌てて修復したりするものだが、角砂糖をお湯(悟り)の中に投じてしまえば、溶けてしまう。
これが身心脱落であると考えると、何だか分かりやすいですね。
お湯という悟りの世界に「私」を放り込むことが、身心脱落であると。
では、身心脱落するとは、どんな境地なのか。
そこには、空(くう)を想わせる世界が描写されています。
現実世界を「われ」という立場を離れて眺めるとき、すなわち身心脱落したのちには、迷いもなく悟りもなく、諸仏なく衆生なく、生もなく滅もない。
そして、今回最も心打たれた道元の言葉が、次のようなものでした。
自分のほうから宇宙の真理を
悟ろうとするのは迷いであり、
宇宙の真理のほうからの働きかけでもって
自分を悟らせてもらえるのが悟りである。
つまり、角砂糖である自分が、お湯という悟りの世界(空)に飛び込まないといけないと思っているうちは「迷い」であって、本当の悟りとは、お湯をぶっかけられることにある、というのです。
・・そういえば、以前、和歌山県新宮市の旅で、18年間山にこもっていたヒカルさんという方と、お話しをさせて頂いたとき。
一眼見るだけで相手の前世が分かり、相手の情報が洪水のようにダウンロードされてしまうから、普段は人と目をあまり合わせようとしないという、そのヒカルさんも、
「"開くとき"というのは、一人一人〇〇歳のいつという形で、いくつかタイミングが決まっていて、そのときどういう状態かによって、開いたり、開かなかったりする。だから、自分から(悟りに)向かっていって開くことは、まず無い。向こうから来る。」
と言っていたことを、ふと思い出しました。
さて、
さらには、道元は「迷ってはいけない」などどは、一言も言っていないんですね。
「迷っていてもいいのだ」ということが心底分かる(丸ごと受容してしまう)のが、悟りであると。
(迷っちゃダメ!といって悩むのが「迷い」。)
そして、自己だけを溶解させるのではなく、自己の中の他者も溶解させる(脱落させる)ことが大切である・・と、番組の内容は続いていきます。
う〜〜ん、面白い!
瞑想をやってきた今だからこそ、『正法眼蔵』に色々な発見がありそうですし、瞑想のことをお話させて頂く立場になったからこそ、読んでおきたいなぁという本が、いっぱいいっぱいあります!
また何か、面白い本を読んだら紹介しますね(^ ^)
(先ほどの、ヒカルさんから聞いたお話しを綴っている記事は、こちらです↓ よかったらお読み下さい☆)
ありがとうございました!